この頃ハマっている漫画:静かなるドン

マンガ「静かなるドン」は、新田たつおによって実業之日本社のマンサンコミックスから刊行された全108巻になる任侠ストーリーです。

関東地方最大級の反社会的勢力「新鮮組」の2代目総長・近藤勇足が、何者かに殺害されてしまうところからこの物語は幕を開けていきます。10000人を越える子分たちはてんやわんやな大騒ぎに巻き込まれていき、幹部連中は跡目争いを始めてしまいました。

そこで白羽の矢が立ったのが勇足の息子にして、現在ではとある女性用下着メーカーの企画デザイン部に務めている主人公の近藤静也です。昼間はショーツやブラジャーの新商品を考えて、夜は抗争相手との戦略を練り上げていくコントラストがユーモアたっぷりでした。赤川次郎が1978年に発表した「セーラー服と機関銃」を彷彿とさせるようなミスマッチと、小林信彦が1987に刊行した「悲しい色やねん」にも似たストーリー展開になっています。

日常と非日常のふたつの世界を、黒いサングラスと白いスーツを使い分けて烈しく行き来する主人公の生きざまがスリリングでした。一見すると冴えないサラリーマン風の静也が、隠されているパワーを解放していく様子に引き込まれていきます。幼い頃から先代にありとあらゆる武芸を叩き込まれていて、次から次へと打ち寄せてくる非情な刺客を打ち負かしていく無敵な強さには圧倒されました。その一方では義理人情に厚く子分たちを思いやり、古き良き時代の任侠道の生きざまにも繋がるものがあります。いかつい身体つきに似合わない優しさを秘めた突撃隊長の猪首硬四郎、豪放磊落でギャンブル好きな鳴戸竜次、鳴門の意志を継ぐ龍宝国光。武闘派の構成員からインテリタイプの組員に、果ては超能力者まがいまでバラエティー豊かなラインナップになっています。

もちろん父親の跡目をスライド式に継いだだけの若輩者の静也に対して、忠誠心を捧げる古参幹部ばかりではありません。クーデターや裏切りを繰り返す問題幹部・生倉新八、「鬼の肘方」とは名ばかりの日和見主義の肘方年坊。反目を続けていく生倉一派と肘方組の関係悪化によって、肥大化した組織内部にも不協和音が漂い始めていきます。対立を深める両者の競争意識をくすぐりながら、巧みに和睦へと導いていく様子が痛快でした。彼の単純な善悪二元論では捉えきることができない人柄は、何時しか子分ばかりではなく対立組織や警察関係者をも魅了していく程です。争いごとを好まない従来の性格から、「静かなるドン」の通り名で呼ばれるようになっていきます。

戦いばかりではなくロマンスやビジネスにおけるサクセスも盛りだくさんで、多くの人に手に取って頂きたいです。

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